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MambaでDynamicDPIScalingを検証

2010 年 9 月 29 日 19:00 2 コメント 7,603 views

2916979e-7b9c-448f-b4ef-e43359dc40d9今まで各レビューやインプレッションでこの件については触れてきました。どういう訳か今家にMambaが2台ありますので、この機会を利用してDynamicDPIScalingアルゴリズム(以下DPIスケーリング)搭載ファームウェア(v1.13)と非搭載ファームウェア(v1.06)を比較し、私なりの見解をまとめたいと思います。

DPIスケーリングについて

前置きも含め説明等はその都度書いてきましたが、この記事だけで完結できるようにしておく為に改めて説明します。

Razerの商品紹介ページで「3.5G Laser Sensor」や「3G Laser Sensor」という記述がある場合は注意が必要です。これらのセンサーは解像度が高いのが特徴となっていますが、繊細すぎるあまり接地面の微妙な変化にも反応してしまうという欠点があります。要するにクリックしただけでカーソルが動いたり、PCデスクに触れただけでカーソルが動いたりする訳です。この欠点を補う為、各マウスのファームウェアに、ある一定のバージョンからDPIスケーリングという仕掛けが搭載されています。

DPIスケーリング搭載している場合、クリックしただけでカーソルが動く「クリックぶれ」という現象は極端に減ります。アルゴリズムの内容についてはあくまで予想でしかありませんが、マウスの移動速度が0もしくは0に近い場合、センサーから上がってくる微量の移動情報はマスク(無視)しておいて、移動情報がある程度連続したり、多かったりという風にトリガーをかけてあげないとマスクが外れない。といったような仕組みだと考えられます。こういう風に移動情報をコントロールしている場合、突発的な微動はマスクされ確実に減りますが、低速度域で情報の欠落が発生しますので、速度によってカーソルの移動量が変わるといった事態を引き起こします。要するに、マウスに加速がかかっている状態と似ている訳です。普段OS側の加速を切ってプレイしているプレイヤーには致命的な問題となり得ますね。

データから検証

それではどの程度変わるのかを図とデータで示します。

左側は、まず赤の基準線にカーソルが合うようにマウスを設置し、マウスをゆっくり右に1cm移動。その後速めに1cm左に移動し物理的に同じ位置に戻したときのカーソル移動の差異です。目安として右に動かす場合は3秒、左に戻す場合は1秒ほどの移動速度です。

右側は、マウスを固定し1pxの鉛筆で50回クリックした時のカーソルのぶれです。そのままでは見えにくいので縦横を4倍に拡大してあります。この拡散面積を参考に1クリックあたりの拡散率を計算しています。(pxには小数単位はありませんのであくまで感覚的な数値です)

image

1.13(DPIスケーリング搭載ファーム)では往復で約倍ほどの移動差があります。これこそ移動情報が無視されていることの証明です。5px分拡散していますので拡散率は0.1px/クリックです。

image

こちらでは移動量が無視された形跡は見られません。往路、復路共に同じ移動量で同じ位置に戻っています。しかし、クリックでは18px分拡散していますので拡散率は0.36px/クリックです。DPIスケーリング搭載ファームに比べ3.6倍もクリックがぶれるという結果が得られました。

今回検証に使用したパッドは、布製でも特に表面の柔らかいARTISAN Kai.g2 UTを使用しました。ですから拡散率0.36pxという値は概ねの最大値だと思われます。当然ながら布でなくプラスチックやガラスであれば拡散率は激減します。

ゲームで検証

以前にも書きましたが、実際にゲームで検証しようにもデータ的なものは何も得られませんので、表現するのは難しい。だからと言って差を感じない訳では決してありません。私の場合はFPSよりも、細かな操作を必要とするRTSでその違和感を感じやすいです。妙に引っかかる感じといいますか、細かく動かしているとカーソルが付いてこなかったり、派手に動かすと動きすぎてしまったり、とにかくそんな感覚があります。逆にFPSではある程度のスピードで動かし続けていますから影響が少ないように思います。置きエイムなんてやる機会があまりありませんから。

これだけでは私の感想止まりですので、良い方法を探している中で「shoot」という簡易ゲームを思い出しました。FPSのエイムではなく、RTSの操作性に近いようなマウスの動かし方をしますので、DPIスケーリングが実際に操作に及ぼす影響を測るには最適ですね。

このゲームを交互に4回ずつやって双方の成績の上下をカットした2番、3番目の記録を紹介します。

shoot06_02 shoot06_01 shoot13_01 shoot13_02

左からDPIスケーリング非搭載2位、3位、DPIスケーリング搭載2位、3位の記録です。スコア的にはそれほど変わりありません。しかし、円内のクリックした箇所を見てみると、DPIスケーリング非搭載の方がより中心に集中しており、DPIスケーリング搭載の方がより拡散していることが分かります。慣れの問題もありますが、私が感じている違和感が結果にも現れていますね。

おまけ

以前の検証でDPIスケーリング搭載と非搭載によってマウスパッドとの相性が変わると考えられる結果がありました。ついでにその検証もしておきましたので結果を紹介しておきます。

原因となったのは上記のリンクにおけるExperience I-2との相性結果で、DPIスケーリング搭載のマウス(Naga、Imperator)だけが普通に使えたというものです。その時はマウスの違いというものがありましたが、今回は全く同じマウスで、ファームウェアのバージョンだけが違う状態で比較してみました。

line

左がDPIスケーリング搭載(v1.13)、右がDPIスケーリング非搭載(v1.06)の結果です。同じマウスパッド(Experience I-2 pink)でペイントにて斜線を引いています。これは非常に面白い結果です。左でも若干のカーソル飛びが見られますが、明らかにトラッキングが改善しています。どのような所作でこうなっているのかわかりませんが、DPIスケーリング搭載のファームウェアにおいてはマウスパッドとの相性改善もあり得るということです。またその逆も大いに考えられます。ちなみに、リフトオフディスタンスに差はありませんでした。

各マウスの搭載状況

当然、各マウスのファームウェアによってDPIスケーリングを搭載しているか否かが決まります。私自身が把握している状況をここでまとめておきます。

以下は現在「3.5G Laser Sensor」もしくは「3G Laser Sensor」を搭載しているマウスの一覧です。

  • Spectre (5600 DPI Laser Sensorという記述があるので多分そう)  — 未発売なので不明
  • Lachesis Expert Ambidextrous — 未検証
  • Lachesis — 未検証
  • Mamba — 1.06までが非搭載、1.07以降は搭載
  • Orochi — 1.06から搭載
  • Naga – 1.13では搭載
  • Imperator – 1.04以降は搭載

公式のサポートページでは既に配布が終了しているファームウェアが多く、実質的に現在選択できるものはありません。Mambaで1.06以前のUpdaterを持っている人のみ選択可能です。

まとめ

公式の配布体制や最近の製品のラインナップを見てわかるように、Razerとしては今後もこのセンサーでこのアルゴリズムがデフォルトとして設計していきたいようです。一応日本の代理店であるMSYさんには、私を含め「アルゴリズムを選択式にしてほしい」という要望は多数届いており、本国に掛け合っている状況ではあるようですので、今後そういう展開になることも可能性としてはあります。では、ユーザーとしてはどうするのが良いのか。頑なに拒むのか、それとも慣れるのか。現状では両方の特徴を把握しつつ上手く付き合っていくしか無さそうです。

DPIスケーリング非搭載ファームウェアの特徴

  • 今までと変わらない操作感(OSの加速を切っている人は特に)で高解像度
  • 布パッドとの相性が最悪(ぶれを気にしなければ使えないことはない)
  • プラやガラス製のパッドを使えばそこまでぶれない

DPIスケーリング搭載ファームウェアの特徴

  • 動き出しに癖がある(慣れれば使える)
  • 布パッドでもぶれが少ない
  • パッドとの相性改善の可能性

と書きつつも、実質的に選べないので慣れるしか無いようです。私のようにやっぱり気持ち悪いので選択式への可能性に期待しつつ、非搭載を使い続けている人も多いとは思います。再配布等どうなっているのか見ていませんので、このページで以前のバージョンのファームウェアを配布することは避けます。一応、サポートページからのリンクは消失していますが、今でも直リンクは生きていますので、サーバー上にはファイルとして残っているようです。

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